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北大全学共通科目「自由な社会とは」

橋本努担当(研究室:経済519、内線2777

 

 

 

1.授業の目的・内容・方法

 

この演習では、「自由な社会」という理念について、さまざまな角度から考えます。自由恋愛、自己啓発セミナー、いじめ問題、大学自由化問題、学校選択の自由、少年法の改正、会社人間論、アイヌと自由、NHK解体論、道路公団問題、性の商品化、自由主義史観、都市の自由、選挙システムの改革、環境と自由、臓器移植問題、電力の自由化、郵便局の自由化、国鉄民営化の成果、政府の民営化、天皇制の民営化、自由に関する国際指標、などのテーマから、参加者の関心にあうものを取り上げる予定です。

 最初に、使用教材を用いて全体討議を行います。また「文献資料の収集方法」および「レポートの書き方」について、講義を行います。以降は、参加者による個人発表とグループ発表に基づいて議論をします。

 

 

 

2.使用教材・参考文献

 

・次の本を共通テキストにします。ご購入ください。

森村進『自由はどこまで可能か――リバタリアニズム入門』講談社現代新書(2001年)\660-

 

 

・資料です。HPより入手してください。

橋本努「自由な社会はいかにして可能か?」大澤真幸編『社会学の知33』新書館、所収,2000.4.

 橋本努「入試制度をあらためて「知」の成長を加速化せよ」『論座』2000年10月号所収, pp.240-251.

 

 

・参考図書です。レポート作成のために各自で必要なものを参照ください。

 橋本努「リベラリズムを考える10冊」インターコミュニケーションno.33, 2000.5.所収
 (自由主義を知るための文献案内です。)

【自由主義の総論】

ミルトン・フリードマン『選択の自由』日本経済評論社

大前研一『平成維新』講談社1989

井上達夫編『新・哲学講義7 自由・権力・ユートピア』岩波書店

土屋恵一郎『正義論/自由論』岩波書店

バーネット『自由の構造』木鐸社

 

 【自由主義を考えるための各論】

仲島聖曜『恋愛自由自在術』メタモル出版

岩井志摩子『自由戀愛』中央公論新社

ノバート・カミン『愛するための自由』ドン・ボスコ社

二澤雅喜/島田裕巳『洗脳体験 増補版』宝島社文庫

内藤朝雄『いじめの社会理論』柏書房

 宮台真司・藤井誠二『学校的日常を生きぬけ』教育資料出版会

 尾木直樹・宮台真司『学校を救済せよ』学陽書房

 池上洋通ほか『学校選択の自由化をどう考えるか』大月書店

 大谷健『JR10年の検証』朝日新聞社

粟津孝幸『NHK民営化論』日刊工業新聞社

 川崎泰資『NHKと政治』朝日新聞社

本多勝一『NHK受信料不払いの論理』朝日文庫

 江原由美子編『性の商品化』勁草書房

 シャノン・ベル『売春という思想』青弓社

 加藤秀樹・構想日本『道路公団解体プラン』文藝春秋

 猪瀬直樹『一気にわかる!特殊法人民営化』PHP研究所

森浩ほか編『空港民営化』東洋経済新報社

玉村博巳編『民営化の国際比較』八千代出版

 選挙制度研究委員会編『図解 選挙制度のしくみ』ナツメ社

 加藤秀治郎編訳『選挙制度の思想と理論』芦書房

 篠原睦冶『脳死・臓器移植、何が問題か』現代書館

 中島みち『脳死と臓器移植法』文藝春秋

 ネルキン『人体市場』岩波書店

 藤岡信勝『自虐史観の病理』文藝春秋

 長原慶二『「自由主義史観」批判1』岩波書店

 野村総訓編『電力 自由化と競争』同文舘

 池田実『郵政民営化』現代書館

 原寿雄『報道の自由と人権救済』明石書店

 聞・リッスン『自由の中で溺れる子供たち』東京図書出版会

 アンリ・ベルグソン『時間と自由』岩波書店

 関良徳『フーコーの権力論と自由論』勁草書房

酒井隆史『自由論』青土社

 立岩真也『弱くある自由へ』青土社

 鈴木邦男『言論の不自由!?』筑摩書房

 加藤典洋ほか『天皇の戦争責任』径書房

 井上達夫『現代の貧困』岩波書店(天皇制論所収)

 佐々木馨『アイヌと「日本」』山川出版社

 小笠原信之『アイヌ差別問題読本』緑風出版

 成田得平・花崎公平ほか編『近代化の中のアイヌ差別の構造[新版]』明石書店

 山川力監『アイヌは主張する』未来社

スキナー『自由主義に先立つ自由』聖学院出版会

 ジェーン・ジェイコブズ『アメリカ大都市の死と生』鹿島研究所出版会

 

 

 

3.文献資料の調べ方

 

研究発表に必要な文献を調べて、「文献リスト」を作成します。

まず以下の(a),(b)について、コンピューターで調べてみよう。検索の方法は、キーワード検索を用いる。例えば「会社主義」「豊かさ」などの単語で検索すると、その言葉が書名に入っている本のリストを得ることができる。文献リストを作るためには、とても時間がかかります。1週間以上の時間を見込んでおきましょう。

(a)北大図書館の蔵書、NACSIS(日本の国立図書館のすべて)のデータ・ベース、札幌市立図書館のデータ・ベース、インターネットのBooks.or.jpのデータ・ベース、図書流通センターのHPにあるデータ・ベースを調べて、データをプリントアウトするかフロッピー・ディスクに保存する。この作業によって、研究に関連する200冊くらいの図書リストを作ります。もちろん、200冊も読めるはずはないのですが、しかし多くの情報を集めて、その分野の研究の広がりを認識し、多数の本の中からすぐれた文献を選択するというプロセスが重要となります。

(b)学術論文のデータ・ベースを調べる。北大付属図書館のHPの「学術文献データベース」をクリックすると、「雑誌記事索引」というデータ・ベースにたどりつきます。1976年以降の文献データです。これを用いて、およそ100-200本の論文データを入手してみましょう。そしてそのデータからすぐれた文献を探し当てて、それをコピーして保存していきます。学術雑誌は、図書館の書庫に入っている場合が多いので、主としてこれを利用しましょう。どのような雑誌にすぐれた論文が掲載されるかを知ることも、検索能力の一つとして評価されます。

 

以上のやり方を通じて、「研究のための文献リスト」を作成します。そしてそれを先生に提出し、文献の絞込みに関するアドバイスを受けます。必要な文献は、購入するか、コピーして手元に置くようにしましょう。この準備に意外と多くの時間を取られるので、はやめに開始しましょう。

どの文献を読むかを決めるためには、自分の研究テーマを絞り込む必要があります。演習では、研究テーマを絞り込むために、「研究発表計画書」の提出を何度か求めます。研究テーマを絞りながら、読むべき文献を選択していきましょう。

 

 

 

4.成績評価の方法・演習のすすめ方

 

出席と発表と発言の積極さを評価するほか、授業内容に基づく「小エッセイ」(1,000字以上)(毎月二回、合計8回のうち、6回提出します。)、および、研究発表に基づく「ファイナル・エッセイ」(6,000字程度)によって評価します。なおエッセイはすべてその都度、参加者の間でEメールのメーリングリストを用い、投稿・閲覧・検討・議論できるようにします。エッセイはいずれも、emailとプリントアウトしたものの両方で提出してください。

 

 評価は絶対評価です。また評価のポイントは、以下の点です。(1)授業に用いた文献資料を正確に読解できているか。(2)自ら問題意識を持って授業を消化したか。(3)自らの問題意識にしたがって文献資料を調べ、授業を超えた理解に到達しているか。

 

 

5.履修上の注意事項

 遅刻および欠席をされる場合は、事前に橋本努研究室(内線2777)まで連絡されたい。